久しぶりに記事を書きます。
最近は、社会人投資家や若手医師と話すことが多いので、受験生や医大生と交流したいものです。

さて、この時期に思い出すのがやはり医師国家試験の大変さですね。

医師国家試験の大変さの前に、学生時代の私の成績を先に話しておきます。医学部はだいたいどこも1学年100人ぐらいです。そして、例え底辺と言われる大学といえど、上位10名は非常に優秀な学生が多いです。

「お前、何でこんな大学にいんだよ?」

みたいな連中がゴロゴロいる訳です。

そんな環境の中、私の成績の定位置は学年で4番でした。そして、私は周りから

人類最強の頭脳を持つ男

と言われていました。なぜ4番で最強なのか?それは

2番と3番は教科書を読んだだけで覚えられるカメラアイと呼ばれる特殊技能を持っていたからです。つまり、人間とは認定されていなかったんですね。試験の3日前から教科書を読み始め、全教科ほぼ満点近く取るわけですから、勝負になりませんよね。

では、そんな二人が適わない1番はどんな人だったのか?それは

見た事のない問題を解ける天才

でした。講師の中には頭のおかしいマニアックの先生がいて、教科書に載っていない物、国家試験から著しく逸脱した問題を出す先生がいるわけです。そういった先生が出す初見の問題を唯一学年一番の天才が解くのです。彼に聞くと、これまで学んだ知識を(医学だけでなく雑学も含めて)総動員して、答えを導くそうです。覚えているというよりも、導くという表現が適している感じです。

そして、恐ろしいのは、国立の医大生というのは全員が私の大学の学年一番の天才クラスという事です。こんな連中と勝負をして、10人中9位以上にならなければ、不合格というのが医師国家試験の難しさです。合格率90%というのは、一見簡単なようでいて、実は最も難しい試験だと私は思います。

そんな連中と同じ土俵で戦わなければならないので、国試対策は少しでも早く始めなければなりません。私は自分の実力を知っていたので、医学部5年から猛勉強をはじめました。つまり、2年計画です。
スタートが早かったため、6年の始めの成績は全国で1万人中100番ぐらいだったと思います。科目によっては、全国1番のものもありました。

しかし、私は決して慢心することはありませんでした。必死に走っている後ろで、ゆっくりとウォーミングアップしている黒人選手達が目に見えるようでした。夏を過ぎてからの模試では私の順位は全国5000番ぐらいに落ちました。あっという間に5000人に抜かれた感じです。しかし、これは私の成績が落ちたのではありません。天才たちが本気を出し始め、ものすごい勢いで追い抜いて行っただけなのです。

通常の人間の脳で、国試のような膨大な暗記量となるとある時点で知識が飽和します。そして、何とかそれを維持するだけで精いっぱいという状況になります。結果的には8000番ぐらいで、無事に国試に合格できましたが、参加者のレベルがあれほど高い試験は人生で国試だけでしょう。

ちなみに私の大学では成績30番以内の生徒もゴロゴロと落ちていました。底辺の大学では10番以内でも国試は危ないというのが私の印象です。